佐々木耕司コラム

「オフにうまくなるトレーニング(内部感覚)」について


皆さん、こんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。今年は、
例年通りの時期に梅雨入りしましたが、今のところ雨量は少なく、気温は
低めで過ごしやすい日が続いています。予報ではこの後暑くムシムシと
した気候になるようですが、昨年同様、節電のために扇風機とうちわを
利用しながら上手にエアコンを活用して過ごしていきたいと思ってい
ます。先日、山形の蔵王へ斯波正樹選手のトレーニングの様子を見学に
行ってきました。今シーズンはワールドカップにて、2回連続の決勝
進出を決め、3月のスペイン大会では、自己最高の10位となり着実に
世界のトップレベルに近づいてきた斯波選手は、来期に向けて順調に
トレーニングを行っていました。その内容は、蔵王スキー場内にある
自宅内のトレーニングスタジオにて正しいポスチャーにて稼動域を広げ
ながら筋力をつけるトレーニングや近隣のトレーニング施設でのウエイト
トレーニング、山でのトレイルランニングトレーニングなど、動ける体に
フォーカスをしたものでした。彼なりに工夫されたトレーニングメニュは、
彼が高校生の頃から始めたスノーボードのためのトレーニングを数多く
こなしてきた知識と経験をもとにカスタマイズされたもので、さすがと
関心させられました。正樹選手の来シーズンの活躍が楽しみです。さて
今回は、”オフにうまくなるトレーニング(内部感覚)”についてお話
したいと思います。まず運動には、外部感覚と内部感覚があります。

·外部感覚:与えられた情報を捉えて動くこと。スノーボードの滑走
でいうと、地形やスピード、雪質などを判断し、それに対応して滑る感覚
·内部感覚:実際にボードをコントロールするための身体の感覚。
(例えば、目をつむって滑ること)

上記の2つを効率良く学んでいくことで、安全に上達することが可能となり
ます。フリースタイルのトリック系を例にしてみると、磨かれた内部感覚を
もとに実際の雪上で滑り、スピードや地形、雪質などの外部感覚にあわせ
て仕上げていくことで技のメイク率が高くなります。また、不本意なけが
を防止するためにも有効であり、まずは外部感覚を養うためにさまざまな
地形をフリーライディングすることから始めていき、自分の技量にあわせ
た技術の内部感覚を磨いていくことで、状況への対応能力が養われ、身体
から接雪しての大きな転倒を防ぐことができるようになります。ターンに
おいては、自分の理想のターンのボードの動き(ラインやボードのたわみ、
走りなど)をイメージして、そのボードの動きができるための内部感覚を
見つけると良いでしょう。オフシーズンで雪が無くて滑走ができない状況
では、外部感覚を磨くことは困難でも内部感覚を磨くことは可能です。
雪上を滑らずにうまくなるためのトレーニングとして、内部感覚を研ぎす
ませる方法の例を紹介すると、理想とするライディングの映像を見て、
その滑り手がどういう意識(イメージ、体の動かし方、身体のどこを、
どのように意識しているか)ですべっているか分析したり、目隠しをして
滑っているイメージをしてみたり、目を閉じてそのライディングをイメージ
してみたり、自分が滑っているイメージと実際に見たイメージのギャップを
少なくすることなどがあります。(トリックをする際に、目線や手を回転軸
にそった方向に回すなどのイメージトレーニングも内部感覚を磨くトレー
ニングの一つです)オフシーズンにこれらを行い、シーズンインに実際に
雪上を滑って得た情報を内部感覚として記憶していくことで、さらに滑りの
幅が広がり安定したライディングが可能となります。K-snow JAPANでは、
夏のニュージーランドキャンプや秋の海外キャンプ、冬のキャンプの中で、
ご要望があれば内部感覚に関するレクチャーを行っていきますので、興味の
ある方は是非とも参加してみてはいかがでしょうか?

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。
2012年07月01日(日) No.96 (コラム)

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