佐々木耕司コラム

「雪の量に応じたすべり方」と「金メダルに携わるコーチ」について


皆さん、こんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。
ここ最近、寒い日が続き、ぞくぞくとスキー場がオープン!!かと思いきや、今年は早期から豊富な積雪という予報が当たったのは、北米やヨーロッパ方面の一部のスキー場のみで、冬らしい朝晩の冷え込みは、順調なのですが、大気の流れがなにやらおかしく、例年なみの時期の積雪となりそうです。ここ数年地球の温暖化が騒がれている中で、長いスパンでみると今後は氷河期になっていくといっている人もいるそうで、今年の夏の以上な暑さやここ数年の冬の状況も長いスパンで見れば、いわゆる普通(自然)な流れなのかなあ、と思えています。

さて、今回は、”雪の量に応じたすべり方”と”金メダルに携わるコーチ”についてお話しします。スノーボードは、アウトドアーで行うスポーツなので、雪が多い状況もあれば、少ない状況もあります。その時の滑走に際する違いを皆さんはご存じですか?雪が多いということは、地面と足元の距離が離れているために、足裏がやわらかく感じることや、表面だけ硬いと感じたり、雪質が何回も変化しやすいという特性があります。雪が少ない場合は、地面との距離が近いため、足裏が硬く感じたり、地形の形状が残っていて凸凹していることがあります。両者ともにすべり難いコンディションの場合、まず考えて欲しいことは、、、、転んだ時にどちらが痛いか!
そうです、雪が少ないときの方が衝撃を吸収するクッションが少なく雪が硬いので、痛いです。では、雪の多いときの方が安全かというと、安心してスピードを出しすぎてしまったり、柔らかい雪の方がバランスを取るのが難しく、雪質がちょくちょく変化するため転倒しやすくなります。
実際に、滑走する際に留意する点としては、雪が少ない時はどうしても視線が手前になりやすいので、遠くを見て、足裏の感覚を大切にして滑るとよいです。特に足首をよく使えるよう、膝と股関節を適度に曲げるとよいでしょう。雪が多い時は、どうしてもスピードを出して後傾になりやすくなるのを防ぐために前足側に重心をもっていって転ぶことがあるため、しっかりと両足に体重を乗せ、頭の位置を前後(ノーズ・テール方向)に大きく動かさないように注意して滑るとよいでしょう。通常、シーズン始めは雪が少なく、ハイシーズンは雪が多くなり、そしてシーズン最後は雪が少なくなるので、上記をことに気をつけて、ケガのないようにスノーボードを楽しんで下さい。

先日、知り合いのJAPANスノーボードチームのトレーナー10yamaさんの会社が主催したセミナーに行ってきました。それは、水泳で2大会連続金メダルを獲得した北島選手のコーチである、平井伯昌氏の講演で、ティーチングとコーティング、メダルの取り方、金メダルをとるためには?
勝ち方にこだわれ!、等、とてもためになる内容でした。ここ最近、さまざまなメディアに出演したり、企業向けのセミナーに引っ張りだこということだけあり、とても人を引きつける興味深い内容の講演で、彼がとても人間味をもった、選手のことを真剣に考える熱血コーチであるということを感じました。話の中で、印象的であったのが、金メダルをとるために、ここ一番という大舞台での選手とコーチの信頼関係からなりたつコンビネーションが、個人スポーツや団体スポーツを問わず大切であること。そのための準備として、日々の積み重ねをどれだけ長く続けられるか、自らを奮い立たせてできるか、そして、大会の前日、当日、スタート直前に相手の思っていることがお互いにわかり合え、実力を100%発揮できる心理状態にもっていく一言をコーチが言え、それを聞いた選手が自身のベストパフォーマンスを発揮できるということが、オリンピックでは求められてると感じました。
平井氏は、私とは携わっているスポーツが違えども、コーチとして共通していることが多々あると感じました。それは、ぬるま湯の中につかりながら「目標は金メダルだ!」と平然と言っている中学・高校生の選手や保護者への対応やその言動、それと、ほめて伸ばすという指導を上手にできずに、ほめなければ何もしない選手、甘えた選手を作り出してしまう弊害があるため、指導の際は、時には叱らなければならず、本当に良いときだけに本気でほめるということや、失敗を恐れずに常にチャレンジし続けるという平井氏のフィロソフィーに共感しました。彼の話を聞き、ここ最近感じていた、以前、中学・高校生であった斯波選手を指導していたときと違うもやもやが、スーッと両端へ引き始めていくようにはっきりとし、カナダ留学でならった知識や経験を生かしていくさらなるヒントを得ることができました。失敗を恐れずに、培ったすべてのことをもとに挑戦し、向上しつづけていくことや、勝負の世界では、どんなにつらくても言い訳をせずに前に進んでいくことが、いずれは勝つことにつながる道であり、選手をその道に導き、一緒に歩んでいくということがコーチの努めであるということを再認識するとともに、コーチングの奥深さをあらためて感じることができました。

K-snow JAPANでは、安全にスノーボードを楽しむ術をわかりやすく伝えることや、選手育成等、スノーボードに携わる指導を行っております。
さまざまな活動についても、当webページに掲載しておりますので、是非一度、見ていただければ幸いです。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。
2010年12月16日(木) No.69 (コラム)

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