佐々木耕司コラム

「多様化するスノーボード」について


皆さん、こんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。
ここ最近、寒い日が増えてきたり、少しずつスキー場がオープンし、冬がもうすぐそこまで近づいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか?
ホームゲレンデである、ホワイトワールド尾瀬岩鞍は12月11日のオープンに向けて着々と準備が進んでいます。今年は、多くの雪が望めるという予報ですので、待ちどおしく思います。

さて、今回は、”多様化するスノーボード”についてお話ししたいと思います。まず最初に、先日行われたSAJ/FISのジャッジクリニック(審判員研修会)の様子からお話ししますと、毎年、有資格者や受験希望者を対象に、海外からジャッジ委員長を呼んで、スノーボードのフリースタイル種目のジャッジを対象に、クリニックおよび検定会が行われています。毎年変化する技やルール等に関して、正しい目で判定ができるか、新しい種目への対応、ルールの変更などの伝達、筆記試験等が行われ、ジャッジ同士の意見交換を行われる機会となっています。
今回は、ハーフパイプ、ビックエアー、スロープスタイルの3種目について行われ、減点の基準がミスに対して厳しくなったり、ハーフパイプの最大のサイズが22フィートになったこと、スロープスタイルについて等の話がありました。その中でも、特に多くの時間を割いて行われたこととしては、ハーフパイプでの技(トリック)の評価の確認と、スロープスタイル種目について、ルールとジャッジ基準、技の確認や目あわせ(できるだけ同じ基準でジャッジできるようになること)でした。ここ最近のウィンタースポーツ、特にスノーボードやスキーの種目の多様化が進んでいるように感じます。
スキーは今年で生誕100周年という歴史がありますが、スノーボードはまだ20数年と歴史の浅いスポーツのため、用具の進化や、環境・設備の変化が著しく、多様化の頻度は高くなっています。そしてこれらは、4年に1度の祭典であるオリンピックの正式種目との関連も強くなってきていると感じます。スノーボードでは、スロープスタイルの正式種目化が議題となっており、2011年1月の世界選手権大会の様子を見て、春に最終決定がされる予定です。(同様に検討されているその他の種目としては、アルペンスキー団体戦、女子ジャンプ、スキーハーフパイプ、フィギュアスケート団体戦があります。「オリンピック速報ブログより」)正式種目となった際には、各国で強化をしていき、早急に対応していく必要があると思います。

多様化するスポーツに対応するために不可欠なこととして、各競技の不変的なベースをしっかりと理解して強化していく必要があると思います。
例えばスケートであれば、ベースとなることは、まずは滑ることであり、種目別の特性を見てみると、フィギアスケートでしたら、演技・表現、技など、スピードスケートであれば、速く滑りきることで、これをスノーボードに置き換えてみると、基本的なことはまずは滑ることであり、フリースタイル(ハーフパイプ、ビックエアー、スロープスタイル)は、演技・表現・技の難易度を競うことで、スピード系(パラレル競技、スノーボードクロス)では、相手よりも速く滑り勝敗を決めることです。
スノーボードの前者と後者は、滑る環境が異なりますが、”滑る”ということは、共通しています。スケートの場合は、屋内のリンクでありそれほど大きな状況の変化はありませんが、スノーボードの場合は、屋外の雪の上となるため、状況の変化(雪質、斜面の角度、アイテムの大きさや形、等)が多々あります。それらに対応して、最高の技を演技できるようになることや、多様化していく種目に対応するために、不変的な本質である雪の上を”滑る”ということが必要不可欠であり、山を滑ることが上手い=スノーボードが上手い選手が、それらに対応していけると思います。これらのことからもスノーボードの上達や多様化していく競技に対応していくためにも、滑るための基本が大切なものであると考えます。

K-snow JAPANでは、スノーボードスクールやさまざまなキャンプにて滑ることの基本から応用までを、幅広いユーザーに伝達しています。
今年は雪が多く、ここ最近では最良のコンディションになる年と言われていますので、是非一度、山をすべりにホワイトワールド尾瀬岩鞍までお越しいただければと思います。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。
2010年12月01日(水) No.68 (コラム)

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