佐々木耕司コラム

「上達・向上する可能性」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。今私は、5月末よりカルガリー(カナダ)に自主研修にきています。 主な目的は、海外コーチ留学時に受けられなかった講義の一つである、”メンタルforコーチ”の受講と、カルガリースノーボードクラブのコーチであるマークと今後のジュニア選手育成について、夏や秋の海外トレーニングの際の合同トレーニングなどについてのミーティングのためです。それらのスケジュールが空いている際に、コーチングコースのクラスメートやこちらでお世話になった方々と会い交流を深めています。
こちらは、冬の陽気にもどってしまい、なんと昨晩は5cmの積雪があり、朝はあたり一面の銀世界となり、昼間でも日陰には、雪が残っているという状態で、持ってきた半袖をまだ来ていない状態です。

バンクバーオリンピックにテレビ中継の解説者として2月に来た後のカナダの様子を簡単にお話ししますと、Own the Podiumという総メダル数1位を目標としたプログラムが成功しました。(5年前から立ち上げられ、結果カナダはバンクーバーオリンピックで総メダルランキング1位にはなれなかったものの、金メダルをその他の国よりも多い14個を獲得した)この成功によって、現在景気が低迷している状況にもかかわず、活動費用が増額されることとなり、次期のオリンピック選手へのサポートが充実するということで、2年後と4年後に今から大きな期待がされています。その中でも、高待遇を受けられるのは、ナショナルチームの中のオリンピックチームのメンバーのみですが、毎月の生活費や遠征時の活動費も十分に援助されるため、4年に1度の祭典でのメダル獲得へ向けてより集中して活動することが可能となります。ナショナルチームを目指すカナダの選手たちは、自らの活動費を自らで都合する必要があるため、夏や秋の雪上トレーニングの費用のために、オフシーズンの間に仕事とトレーニングの両立をしながら、4年後、8年後の晴れ舞台での活躍を夢見て、充実した毎日の生活を楽しむよう精一杯がんばっています今回受講していている講義”コーチとしてのメンタル”を通じて、選手を指導するコーチとして、メンタル面の正しい知識を持つことが大切であり、指導における厳しさと優しさを両立する中において、選手の目標へ向けて最善の道に導いてあげることがコーチのすべきことであり、やりがいのあることだと再認識しました。そのためにもコーチには、幅広い知識と多くの経験が必要不可欠であり、それ故に、海外のトップチームのコーチは、知識と経験をしっかりと身につけてからコーチになるケースが多く、選手を終わってからすぐにトップチームのコーチになれるということは決してなく、専門の教育を受けたり、コーチとしての経験を積み、しっかりとした下積みの期間を経てから職務につくシステムとなっています。このようなシステムがない国や競技団体の場合、選手をやめてすぐにコーチとなるケースが多々あり、その場合、テクニックだけは伝えられるが、その他の要素(メンタル、フィジカル、用具、戦術、栄養、休養、環境問題など)については、自分が選手時代を通じた経験のみという狭い範囲での指導になりやすく、選手の能力を存分に伸ばして個性を磨くことが難しくなることがあります。カナダでは、スポーツを指導する人が教育を受ける機関やシステムが整っていて、ジュニア等を教えるボランティアのコーチにおいても、コーチ哲学や危機回避、トレーニングの原則等をしっかりと心得ているので、安心して子供を預けることができます。トップコーチにおいては、国や競技団体が主体となり、ある程度の保障を受けられる機会があるため、自身で身につけたキャリアを思う存分発揮して、選手を強化・育成できるという恵まれた環境であり、スポーツに対する取り組みや環境が日本と大きく違うということを改めて痛感しました。

さて、今回は、「上達・向上する可能性」についてお話ししたいと思います。スポーツや勉強、仕事等において、人々が上達・向上する可能性は皆に平等にあると思います。では、その可能性をフルに発揮して伸びるためには、どのようにすればよいのでしょうか?
人それぞれ住んでいる環境、学校、仕事、家族、などの環境が異なり、上達・向上に与える影響は人それぞれ異なります。その中で、困難な状況に遭遇した際に、それらを乗り越えていくためには、”とにかくがんばることが大事だ!”といわれています。確かにそのとおりだと思います。しかし、がんばろうと思ってがんばれる人と、がんばろうと思ってもがんばれない人がいます。がんばるためには、物事に対する考え方が関係していて、物事の考え方は人それぞれ異なります。例えば、ある1回のチャンスがある場合、”これ1回しかチャンスがない:失敗したらどうしよう”と考える場合と、”やっとチャンスが巡ってきた:このチャンスを生かそう、もし失敗しても精一杯にトライして、そのトライすることを楽しむことができれば、貴重な経験をすることができ、次はきっと成功するに違いない”と考えるのでは、ネガティブ(消極的)とポジティブ(積極的)の思考の差による取り組み方が大きく異なります。このような考え方は、日常に起こるさまざまなことを受け入れることができるか?自分自身の人生をいかに楽しみ謳歌しようとできるか?に大きく関係すると思います。これらを、すべて自分のため、今後のために起こっていることと考えられば、落胆したり、腹立たしく思ったり、いらいらせずに素直に受け入れられ、人生を楽しむことができると思います。
4年に一度の祭典のオリンピックが終わったばかりというのにも関わらず、すでに次の五輪をめざして資金を稼ぐために、一生懸命働いてる選手の姿を見て、私ももっと精進して成長していかなければと心が引き締められる思いがしています。
幸いにも私が接することが多い、選手達やスノーボードレッスン受講者やキャンプ参加者、海外のキャンプに参加する方達は、なれない環境でもスノーボードをうまくなろう、目標に近づこうという強い思いがあるからこそ人よりも早く上達することでできると思います。そうした人たちを最善の道に導き、皆が平等にもっている上達・向上する可能性に磨きをかけ、光り輝かせることは、指導者として難しいことでありますが、楽しいことでもあります。

上達する可能性を高めて、早い上達・向上を望む方は、オンシーズンのみならず、私どもがオフシーズンに開催するイベントにご参加いただくことをオススメします。

(以下オフシーズンの予定)
・スノーボードの為のオフトレキャンプPart1:7月3-4日
・サーフィン体験会(予定)
・ニュージーランドキャンプ:7月中旬-9月中旬
・バーベキュー会(予定)
・尾瀬近辺の登山(予定)
・アクロスキャンプ:10月9-11日
・スノーボードの為のオフトレキャンプPart2:10月中〜後半
・ヨーロッパキャンプ:11月初旬〜

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。
2010年06月01日(火) No.62 (コラム)

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