佐々木耕司コラム

「掘れたゲートバーンでのライディング」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。
スイスキャンプ終了後のヨーロッパカップ遠征が終了し、ウィスラー(カナダ)にCSBAの監修に来ています。こちらはとても寒く気温は-18度です。昨年まで住んでいたカルガリーはなんと-28度だそうです。
ウィスラーの雪は例年よりも多く、まあまあのコンディションです。
(ここ最近雪が降っていないため、かなりアイシーなバーンでしたが・・・)私事ですが、バンクーバーオリンピックPGS種目(2010.2.26-27)のテレビ放映の現地解説者を行うことになりました。次は、2月22日あたりに再度バンクーバーへ戻ってきます。

数年ぶりに参戦したヨーロッパカップの様子を簡単にお話ししたいと思います。2大会参加したうちの初めの大会は、11/28-29にオーストリアにて開催されました。そこは昨年よりも雪が少ないものの山頂にはしっかりと雪が残っており、大会は順調に行われました。斜面は緩斜面にやや左に曲がっていくというレイアウトで雪質はややソフト、コース幅が狭いためセットは細かめのストレートという状況でした。
大会にはJPNのナショナルチームを含めた、約230名(男子140名、女子90名)の選手が参加し大いに盛り上がりました。我がチームJapan-Factoryからも3名の選手が参加し、男子の2名はヨーロッパカップデビューを果たしました。(昨年は北米選手権への初参戦を果たす)女子は、FIS公認大会へのデビューを果たしました。
リザルトは今ひとつでしたが、今期の目標へ向かって現在取り組んでいることを大会で実践したり、ヨーロッパ選手と一緒の大会へでることにて今後の進化のための大きな糧となる貴重な経験をすることができました。
次の大会までの期間は、大会終了後に大会バーンでトレーニングをしたり、ソルデンにて工藤プロのチームと合同でゲートトレーニングやフリーライディングを行い、次のイタリアでの大会にそなえました。
2戦目の大会は(イタリアのカレッツァ)、当初雪不足で開催が危ぶまれましたが、大会前に多くの雪が降り無事に開催されました。PGS大会当日のコンディションは、前日までに降った雪が掘れて、人工雪の固いバーンがでてきたというコンディションで、斜面は急から緩斜面、セットはややふり気味からストレートになっていくというものでした。同日程でのワールドカップが雪不足のためキャンセルとなったので、多くの選手が参加すると見込まれていましたが、ナショナルチームAチームの選手はそれほど多く参加せず、前回のオーストリアのレースとほぼ同数の参加人数で行われました。参加した我がチームの選手達は各自の滑りのテーマの達成に向けて果敢に挑みましたが、練習では見せない大きなミスをしてしまいました。このことで大会での緊張感や、練習とのメンタルの違いを経験しました。シーズンが始まるこの時期にこのような経験ができたことは、今後のライディングへの良い刺激をうけるとともに、今シーズン飛躍するためのテーマを明確にすることに大いに役立ちました。ヨーロッパカップに参戦して感じたことは、若い選手が多く、各国の二軍、三軍の選手のレベルが高く選手層が厚いということや、ヨーロッパをベースにトレーニングをする日本人選手が増え、大会で健闘していたことが印象的でした。

さて、今回は「掘れたゲートバーンでのライディング」についてお話ししたいと思います。
通常のバーンと掘れたバーンでの滑走の違いは、掘れていない通常のバーンでは多くのラインを滑ることができますが、掘れたバーンでは太い1本のラインができてしまい滑走できるラインが限定されてしまうことです。掘れたバーンを上手にすべるためには、掘れたライン通りにすべるテクニックが必要であり、そのためにはさまざまなターンができるテクニックが必要です。それには丸いカービングターンが必修となり、そしてそれができた上でのテクニックとして、ボードをしならせたターンにてスムーズに滑ることが大切です。それには、ボードのノーズをターン外側へずらすテクニックを使うと上手に掘れたバーンを滑ることができます。レース等でタイムを出す必要がある方は、上記にプラスしてボードをできるだけ長くフォールラインへ向けてターンすることで良いタイムを出すことが可能となりますが、これにはバランスの保持が難しい掘れたバーンで正しいタイミングにてターンを行うトレーニングを数多くこなすことが必要となります。ノーズを上手にずらすためには前足と後ろ足の独自の操作が必要で、そのための第1歩としては、まず後ろ足重心でのボード操作を身につけることが大事となります。このことはK-snowのレーシングキャンプで教えていることであり、さまざまなレーシングテクニックのベースとなるテクニックで、この延長上に速くすべるための多くの応用テクニックがあります。興味のある方は是非ともご参加いただき、さらに細かいところまでお尋ねしていただければと思います。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。

2009年12月16日(水) No.52 (コラム)

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