佐々木耕司コラム

「滑るボード」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。先日、カルガリー市内にあるアイスアリーナへアイスホッケーの試合をファミリーで見に行ってきました。それはNHL(National Hockey League)という北米で行われているプロホッケーリーグで、こちらではとても人気があります。
今回の試合は、カルガリーフレームスがホームで戦うカードだったため、真っ赤なチームユニフォームを見に纏った大勢の観衆が集まりました。
試合開始は夜7時30分ですが、7時から行われるウォーミングアップトレーニングを一目見た方が良いと言うアドバイスを頂いたので、早めに行ってそれを見学しました。約15分間で行われるウォーミングアップはとても効率よくかつ観客を楽しませるように構成されていることに感心させられました。
アイスホッケーの試合は、各20分間の3つのピリオドで行われ、ピリオド間は約20分のブレイクがあります。この試合は生放送でテレビ中継があるため、時々コマーシャルのための短い中断があったりして、最終的に試合が終了したのは夜10を過ぎていましたが、ドームの中にはハンバーガーやホットドック、フライトポテト、ピザ、コーラといったジャンクフードやアイスクリームやビールが種類多く販売されており、長時間の試合をゆっくりと楽しむことに適した施設となっていました。
試合はフレームスが1点を先行しましたが、1対1の同点で迎えたオーバータイム(サドンデスの延長)に1点入れられて逆転負けをしましたが、とてもエキサイティングな試合であっという間に終わってしまいました。

今回はじめてホッケーの試合を見て感じたこととして、以前イタリアでセリエAの試合を見た時と比べて、観客のマナーが良いことに驚きました。ホッケーのゲーム中は、いいプレーに対して声援を送ることがメインとなっていて、ミスをした際にやじをいったりブーイングをいうことはほとんどなく、試合終了後にホームのチームが負けた場合でも暴れる人もなく静かに家に帰るというもので、数多くの家族ずれが観戦に来る理由がよくわかりました。
試合を観戦をした後、私の子供達が「ホッケーの選手かっこいいな。ホッケーやってみたくなったよ」と言うほど、見ている人を夢中にさせるプレーと演出がすばらしかったです。日本のプロ野球にも少し似た雰囲気でしたが、ホッケーの方が競技スペースが小さく、コート中央の上空に大きなモニターテレビ(4面)があり、試合が見やすく試合の流れがわかりやすかったことが、初めての人でも夢中になれる要因だと思いました。

さて、今回は「滑るボード」についてお話しします。ハイシーズンの雪と比べて水分の多い春の雪では、ボードの滑走性能が落ちて困っている方が多いと思いますが、そのような状況で滑るボードとは、どのように手入れされたものであるか皆さんご存じでしょうか?
ボードが雪の上を滑る原理は、滑走する際に滑走面にて発生する摩擦により雪が溶けて水分(小さなコロコロ)となり、それがプラスティック等の繊維で作られた滑走面にて、はじかれるという現象がおきて滑るようになっています。
春の雪の場合は、再結晶が繰り返されてできた雪のため多くの水分を含んでおり、その抵抗の大きさはハイシーズンの雪と比べると何倍にもなります。水をはじくためには、高密度の滑走面を使用することと滑走面の素材の役割を補助するWAXの役目が非常に重要となります。滑走している際に滑走面で起きている現象としては、水分と一緒にWAX自体がはがれ落ちながらボードを前に進ませています。そのWAXが全てなくなってしまった場合、滑走面と水分との摩擦が大きくなり、ボードの滑走性が落ち減速していくのです。
要は、単純にたくさんのWAXが滑走面に浸透しているボードが滑るのです。

WAXをたくさん滑走面に浸透させる(飽和状態まで)代表的な方法は下記のとおりです。

1.手作業で約60回以上のワキシングを行う。
2.V-サーモを利用した3回の行程(それ以上WAXが浸透しないため)にてワキシングを行う
3.サーモプロを利用して行う。


その対象は:

1.については、時間のある方向きです。
1年中滑っている選手等は、夏の間に練習用のボードと試合用のボードを同時にワキシングを行うので、それほどの苦もなく滑るボードを作ることができます。

2.については、時間は無いがお金に余裕のある方向きです。
WAXに費やす時間を最小限にして、滑走する時間を多くとりたいという方へ。
(弊社とパートナーシップの”あとりえS”にて取り扱っておりますので、興味のある方は、是非とも問い合わせてください)

3.については、末長くスノーボードを楽しみたい方向きです。
大会時はもちろん、トレーニング時や遠征時にいつでもどこでも素早く手軽にワキシングを行いたい方へオススメです。

サーモプロについて簡単に説明しますと、電源からの供給によるヒート効果と保温効果のある素材からできた、スノーボードまたはスキーがすっぽりと入る形状の持ち運びができるワキシング専用ケースです。ワキシングを行う前にあらかじめボードを暖めておいて WAXの吸収性を高め作業時間を短縮するとともに、ワキシングになれていない方や急いでワキシングを行う際に失敗しやすい”ソールの焼き付き”を防止する効果があります。

今回マイナーモデルチェンジして新しくなったサーモプロは、従来品よりもハイパワーになったため、寒い場所でもグングン温度が上がり作業効率を高め、限られた時間で、より多くのワキシングが可能となりました。
今シーズンまだ上達できる環境がある中で、さらなる上達を目指す方や、オフシーズンにゆっくりと時間をかけて滑るボードをつくりたい方や、毎回の手入れを簡単にすませたい方はもちろん、大会へ頻繁に出場したり、遠征やトレーニング地が転々とするかたにサーモプロはとても適しています。
値段は決して安いものではありませんが、快適で完璧なワクシング環境を求めている方は、是非導入をご検討されてはいかがでしょうか?弊社オンラインショップでも販売中です。
http://www.k-snow.com/shop/shop.cgi?order=&class=2%2F1&keyword=&FF=0&price_sort=&pic_only=&mode=p_wide&id=20101&superkey=1

よくある質問で”WAXの種類について”を聞かれますが、サーモプロにてワキシングを行う際には、どのWAXでも対応が可能です。この製品と同時に開発された「速剤」は、高い浸透性と滑走性が特徴となっており、コンディションを選ばずによく滑りますので、是非一度使用されることをオススメします。

滑るボードについては、過去コラムにも掲載していますので、参考にしていただき、さらに上達することの手助けができればうれしく思います。

★春雪のコンディションでの滑走がさらに上達する等について
2004年03月17日「春雪」の滑り方
★春のコンディションの際に使用するボード全般の手入れについて
2007年03月16日(金) No.8「春の雪でのボードチューンによる効果」
を参照ください。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。
2008年03月16日(日) No.25 (コラム)

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