佐々木耕司コラム

「プレート」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。前回の佐々木耕司通信にて北米は暖冬傾向と記載しましたが、それはどうやら間違いのようでした。現在、カルガリーには史上最大の寒波が到来しており、それは、夜中の最低気温がマイナス38℃、日中の最高気温がマイナス31℃というものです。カナダの他の地区では、観測史上最低のマイナス44.3℃という記録を更新したと報道されました。そのため、スノーボードの雪上トレーニングが昨日、今日と2日間中止となりました。
(スキー場がクローズとなったためと風の温度がマイナス40℃となりその中での激しい運動は人体へ悪影響を及ぼすため)私の子供達が通っている小学校が、休みになるかもしれないと思いましたが、通常どおり授業がありました。しかし、休み時間に外で遊ぶことが禁止されたり、クラスの5,6人の子が欠席したようです。マイナス30℃がどのくらいの寒さかと言うと、家の2重ガラスの室内側全面が凍りついたり、外で呼吸をする際、口からの呼吸を大きくすると肺が痛んだり、鼻毛が凍りつくために勢いよく鼻からの息を吸うことが困難となったり、頬がちくちくと小さい針でさされたようになる状態で、降雪は少なく、積もってもせいぜい10cm程で、外を歩く際にはスキーウェアーは必需品で、外気に肌が触れないようにゴーグルやヘルメットを装備したいと思うほどの寒さです。そのような状況の中、自転車で通勤している人やランニングをしている人を見かけた時には一瞬自分の目を疑いました。このような状況で運動をするとは、本当にカナダの人は体を動かすのが好きなのだと改めて文化の違いを感じました。(恐るべしカナディアン)

さて、今回は「プレート」についてお話しします。プレートをつけるとどうして速く滑ることができるようになるかご存じでしょうか?最近スノーボードにプレートを装着(バインディングとボードの間)する選手が増えてきています。プレートをスノーボード(スキー)につけた際の効果は下記のようになります。

・雪面からの膝の高さが高くなりボードのエッジの切り替えを素早くすることができるようになる。
・角付けが行いやすくなり、エッジグリップを強くしやすくなる。
・プレートに付帯している振動吸収素材の影響により、滑走中に雪面から伝わってくる振動を吸収することにより、滑走面とエッジのグリップが増しボードの安定性が向上する。


プレートが付いたボードで滑走する際の効果は下記のようになります。

・ボードが安定するため、ボードが暴れるのを押さえるという動作が不要となるので滑りに余裕ができ、ボードを走らせたり、狙ったラインをせめたりすることができる。
・固いアイスバーンでエッジをグリップさせてカービングターンで滑ることが容易にできる。
・振動吸収素材が振動を吸収するため、不整地や悪雪等の悪条件でボードがばたつくこと押さえるため、安定して滑ることができる。

プレートを装着することはスキーから始まっており、プレートを装着するのとしないのでは、振動吸収能力に大きな差があります。例えば、自転車で未舗装のところを走った場合、振動吸収のショックアブソーバーがついている自転車とそうでないものを比べた時に、前者の方はタイヤが常に接地しているため、自分の足でこいだパワーの伝達がよく、振動吸収装置のおかげで上半身まで振動がこないので、安定して速く走ることが可能となります。それに比べて後者の方は、タイヤの接地状態が一定でなく、場合によっては接地しない時があるため自分のパワーをうまく伝えられずにパワーをロスすることがあったり、高速になるほどタイヤのグリップが弱くなり、カーブでオーバーランをしやすくなります。また、上半身へ振動が伝わってきた時は、自転車から落ちないようにするために体を支えることに労力を費やしてしまうため、自転車を上手に操作することに集中することができなくなります。

スノーボードについても上記同様で、かつ、性能の良いプレートをつけた場合は、つけない時と比べて小さいターンとなり、よりタイトなラインで滑走することができ、高速になった場合や雪面状況が難しくなった時でも安定したライディングが可能となるので、速いタイムで滑ることが可能となるのです。
注意しなければならないこととして、プレートを装着した際はグリップ力が増すので、ボードが自分の意志よりも斜面下方向へどんどん走っていくため、常に体を落とし続けていかなければ、ボードから体が遅れてしまい、ボード操作が困難となり大きなミスをしやすくなります。また、高速での滑走の際の安定性が増す代わりに、低速での操作性が難しくなるので、プレートを装着した際は用具に慣れるための時間が多く必要となります。
プレートに興味のある方は、まず導入モデルとして手軽に装着ができるGREX社のFCX−SRがオススメです。装着する際にボードに穴を開ける必要がなく、専用のビスと差し替えるのみで簡単に装着することができます。FCXプレートが発売されて依頼、7回のモデルチェンジにて誕生した最新モデルのこのプレートは、重量がとても軽量(前モデルの約半分)であるにもかかわらず、抜群の振動吸収能力を備え持っていることが特徴です。興味のある方は、是非一度下記をご参照下さい。
http://www.k-snow.com/shop/shop.cgi?class=6&keyword=&superkey=1&FF=0&order=&pic_only=0
(プレート選びのポイントについては次回お伝えしたいと思います)

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。
2008年02月01日(金) No.22 (コラム)

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