佐々木耕司コラム

「ジュニア世界選手権大会に参加しての感想」について

皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。
今回は、「ジュニア世界選手権大会に参加しての感想」についてお話ししたいと思います。

先日、オーストリアで開催されてた総勢300名、30カ国の選手が集まった１年に１度の祭典である、FISジュニア世界選手権大会(4/9-4/13)に日本人若手選手７名とともにコーチとして参加しました。スノーボードクロスは男子２名、パラレルジャイアントスラロームとパラレルスラロームには男子３名、女子２名が出場しました。大会３日目に行われたパラレルジャイアントスラローム種目にて、ナショナルチームの野藤優貴選手（NPO小嶋アカデミー）がみごとに銅メダルを獲得しました。アルペン種目でのジュニア世界選手権大会でのメダル獲得は、史上３人目の快挙となりました。（１人目：佐々木優選手 2000年銀メダル、２人目：戸﨑啓貴選手 2004年銀メダル）
標高約2800mの高地にて開催された今大会は、朝はハードアイスバーンのコンディション、昼前からはスプリングスノーへと雪質が変化し、コース後半に続く長い急斜面というバーンで、世界選手権としてはふさしかったのですが、ジュニア選手には少々酷な状況にて開催されました。ハイシーズンのグッドスノーと比べて脚に負荷がかかり、テクニックが要求されるスプリングコンディションの中、野藤選手は最後までばてることなく、集中力を維持した持ち前のなめらかな滑りにて、オーストリアのダニエル選手を倒しみごとに銅メダルを獲得しました。

今大会は当初ブルガリアでの開催が予定されていましたが、金銭的な理由等により開催が困難となり、他の場所をさがしていたところにオーストリアが名乗りを上げ開催できたという経緯があります。世界選手権大会と言う大きな大会と言うことや上記のような背景から地元の大きな協力が得られたことが大会の成功に結びついたと思います。
大会期間中は、毎日毎日、大勢の地元ボランティアの方が協力してくれました。中でも驚いたのは、最終日のパラレルスラロームの際にコース整備係に約25名ほどの地元のジュニアのスキー選手（小学生）が手伝ってくれたことでした。聞いたところによるとお昼ご飯のサンドウィッチと飲み物という報酬のみで、何度も何度もコース整備のために長いＴバーリフトに乗り、コースをていねいに整備してくれました。
オリンピックやワールドカップ等の世界クラスの大きな大会には、裏方として大会を支えてくれる運営役員の方がとても多くいて、その大半がボランティア（無給）として協力してくれています。どうして彼らは報酬がなく時間も長くて大変なことを手伝ってくれているのかを考えてみると、その競技が好きであったり、自分の知り合いがその競技を行っていたり、自分の子供がその大会に出ていたり、人のために奉仕することが好きであったり、地元のイベントを盛り上げるためであったり等、様々な理由がありますが、ひとつ共通していると感じることは、大会を無事に成功させて成し遂げた際の達成感を共有しているのだと思います。私も運営役員という形で大会に携わらせて頂く機会が多々あり感じることですが、選手はそのような舞台で全力を出せるように日頃からトレーニングを積んでいくこと、役員の人への挨拶、大会が開催されることに感謝することがとても大切であり、そう言うことが彼らの縁の下の協力に応えていくことであるとあらためて痛感させられました。
大舞台となる大会で最終的に実力を発揮でき勝者となりえる選手とは、常日頃から思いやりのある感謝の気持ちを持った選手ではないかと、改めて感じています。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。

2007年04月16日（月） No.10 (コラム)

<<2007年04月>>
日	月	火	水	木	金	土
1	2	3	4	5	6	7
8	9	10	11	12	13	14
15	16	17	18	19	20	21
22	23	24	25	26	27	28
29	30