佐々木耕司コラム

「集中力」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。先日、毎年恒例のニュージーランドキャンプが終了しました。私がニュージーランドで滑り始めて14年目となりますが、これほど豊富な積雪でグッドコンディションな状況は初めてでした。また、普段は圧雪車が入ることの無いオフピステが次々と圧雪され、今まで滑ったことの無いバーンを初めて滑れたシーズンでもありました。これらの要因は、日本の冬と同じように寒波が多く入った影響と考えられますので、今年の日本のシーズンが良くなれば、同様に来シーズンのニュージーランドも良いシーズンとなると言うことですので、少し気は早いですが日本のシーズンで積雪が豊富であることを今から期待しております。

さて今回は「集中力について」お話したいと思います。短い期間で物事を成し遂げたり、習得するためには「集中力」がとても大切です。極度に緊張していたり、気分が下がっている場合は集中することが難しく、自分の実力を十分に発揮することが困難となります。
集中するためにはまず、”リラックス”した状態を作ることが大切です。そして、考えたりイメージしたりして「脳を使い集中」そして「リラックス」、同じように「脳を使い集中」そして「リラックス」と言うことを繰り返し行うことで「集中するという力」=「集中力」が養われていきます。長い時間集中する為には、短い時間から脳を使い集中することを始め、徐々にその時間を長くしていきます。

脳が大きく成長する幼少のころに多く脳を使った子供と、そうでない子供が成人した際の集中力の差は大きいと言われています。一般的には、読書やカードゲームなどは多く脳を使い、コンピューターゲーム等では少ないと言われていますので、脳を使うことすなわち”考えること”が集中力UPにはとても大切です。幼少の頃にそのような環境で育たなかった人は、読書をしたりするとすぐに疲れやすい等ありますが、まずは短い時間から始めていき、それを継続していくことで集中力を養わうことが可能となります。

先日、レーシングスノーボードのスーパースターであるマチュー・ボゼット(フランス:トリノ五輪PGS4位)とシギー・グラブナー(オーストリア:トリノ五輪銅メダリスト)の両名が、撮影のために Mt.Hutt(ニュージーランド)へ訪れました。私もニュージーランドに滞在中で共に過ごす時間があり感じたことですが、ここぞという時の集中力が、「さすがオリンピック選手」と関心させられました。その話しと言うのは、滞在先のメスベンでマチューボセットとシギーと一緒にゴルフに行った時の話しなのですが、彼らが1打1打ボールを打つ前の集中の仕方は、目を見張るものがありました。まず、打つ前に打球のイメージをし、その通りに打つために自分のリズムで集中し、そしてショットする。結果、うまくいった時はとても喜び、失敗した時は体全体で悔しがります。毎回ショットし終わった後に、集中して作り出した自分のイメージ通りに出来たかを判断して、その結果を素直に受け止め、そして次に向けてリラックスをし、次のショットの時には、前のショットの事は忘れて何もなかったかのように冷静となり、再び集中するのです。彼らは、日常の生活においてもリラックスする事がとても上手であり、遊ぶ時は遊び、集中してトレーニングする時はすると言うメリハリがしっかりとしており、なんとしても最後まで成し遂げようと言う強いメンタルを持っていることが見受けられました。

これらのことも踏まえて考察すると、スノーボードのトレーニングにおいても、集中して滑る時と休憩する(リラックス)時のメリハリをしっかりとつけ、明確な滑るイメージをしてからトレーニングを行うことが上達の近道のために必要なことであると思います。
K-snow JAPANの夏と秋の海外キャンプの選手コースでは、上記の面についても指導していますので、興味のある方は是非ご参加ください。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。楽しみにしておいてくださいね。
2006年09月01日(金) No.2 (コラム)

No. PASS