佐々木耕司コラム

「ジュニアからの一貫した強化」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。最近は、ぽかぽかと春の陽気となりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?現在、私は全日本スキー連盟が開催する「アルペン強化コーチセミナー」を受講するために、ふたたび尾瀬岩鞍へ来ております。この週末で営業を終了するというのに、予想をはるかにしのぐたくさんの雪が残っておりとても驚きました。これは4月になってから、くもりの天気が多かったことが影響したそうです。スキー場としては、滑走のためには十分な雪が残っていて良いのですが、シーズンオフのグランドゴルフや「ゆり園」(7月開催)の営業のためには、早く雪が解けてほしいという複雑な状況となっています。

今回は、「ジュニアからの一貫した強化について」コーチセミナーに参加して感じたことをお話ししたいと思います。
FIS(スキー組織)にて定義されたチルドレンとジュニアの区分けは以下のようになります。
・チルドレン1 :11才、12才
・チルドレン2 :13才、14才
・ジュニア  :15才〜19才 (シニア:20才〜 )
今年のトリノオリンピックのスキー(スラローム種目)では50年ぶりの入賞(4位皆川賢太郎選手、7位湯浅直樹選手)を果たしました。(3位の銅メダルとは惜しく0.03秒差)その背景には、長野オリンピックを目指して始められたジュニアからの一貫した強化育成がありました。段階に沿った強化、すなわちシニアチームになった際に必要な体力、テクニックを想定したトレーニングをジュニアの発育過程にあわせてトレーニング行うばかりでなく、大会遠征のプラン作りや戦略立てをトレーニングと同様に計画的に行うというものでした。そして、海外での状況を日本へしっかりと伝達することや、国内のシニアチームとジュニアチームのトレーニングの融合等、ジャパンチーム内の各チームとの情報伝達を徹底して行い、チームが一丸となりチーム力というものをおおいに活用して強国に挑んでいったということがありました。

今回参加したコーチセミナーについてお話ししたいと思います。群馬県のチルドレンの選手(約20名)をオーストリアのチルドレンコーチと教育本部デモチームの2班にわけて指導する様子を、全国から参加した指導者(約30名ほど)が見学しながら学ぶというものでした。年齢の若いチルドレンやジュニア期には、ポール練習ばかりをさせるのではなく、多くのフリースキーにて、スキーの基本操作、適正なポジション、バランス、等をしっかりと身につけることが大切です。そのために、全日本ナショナルデモンストレーター2名が参加して、正しい滑りの見本を実際に子供達に見せたり、基本トレーニングバリエーションを多く行いました。このくらいの年齢の選手には、視覚情報からのイメージ作りが大切であるということを再認識しました。

3日間の春のコンディションでのトレーニングにより、子供達は楽しみながらおおいに上達しました。その背景には、オーストリアのコーチが春のトレーニングのメリットを以下のように話していたことが裏付けされていたように強く感じました。
・年間の滑走量を増やすことができる
・暖かい時期の滑走のため(寒い時期にくらべて)体力の消耗が少なくてすむ
・悪雪をすべることでバランス感覚が養われる
・オフのシーズンに海外等に行って滑るよりも少ない費用で滑走量を増やすことができる

オーストリアから招待された14才の選手(クリスチャン)のトレーニングみて、腰のポジションがとてもしっかりとしていることに驚かされました。(日本の選手は腰が後ろや下に下がってバランスをとってしまう)それは、常にスキーの上にいて、いわゆるいつでもスキーを”踏める”ポジションにいることでした。これは、基本がしっかりと身についているということであり、チルドレンに対するオーストリアの一貫した指導プランの賜であると思いました。全日本スキー連盟も約3年前より、チルドレンの強化をはじめており、チルドレンからシニアまでの一貫した強化育成の確率を目指している状態です。

最後に私が感じたことを少しお話ししたいと思います。
今回のセミナーは競技に関するものでしたが、ベーシックな部分では競技と基礎は同じであり、それはスキーの基本そのものであり、数十年前から全くかわらないものであります。普遍の理論に裏付けされ完成されたメソッドに基づいたトレーニングは、実にシンプルでかつ合理的であり、あらゆる応用テクニックに移行できるもので、私がスキーの指導をしていた時に学んだものと同じものでした。ここ最近、日本でも競技と基礎の融合が行われ、競技力が向上してきましたが、よく考えてみると、もともと同じであったものを競技と教育にわけて独自の理論を展開してしまったことが、少し遠回りしてしまったように思えました。
現在のスノーボード界では、競技と教育で独立して発展していますが、基礎の部分については共通の認識をもちながら行っていくことが、スノーボードの国際競技力の向上に大切であり、遠回りをしないために必要であると考えます。スキーではすでに確立しているメソッドのスノーボード版の確立に貢献していければと思います。

子供のスノーボードの技術向上について、しっかりとした基本を身につけることは必要不可欠であり、各指導者やスクールがそのことをしっかりと認識した上で指導に携わって欲しいと思います。そして、目標に向けての長期プランを作成し子供達のことを長い目で見ながら、指導していくことへも積極的に挑んでもらいたいと思います。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。楽しみにしておいてくださいね。
2006年04月17日(月) No.2 (コラム)

「スノーボードの性能を発揮するためのコツ」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。数日前に、北海道出張から岩鞍へ戻ってみると、あたたかい春の気候のため雪はざくざくとなっており、シーズンが終盤であることを感じました。しかし、3日前より急に冬型の気圧配置&寒波の影響による大雪に見舞われました。この時期としてはとてもめずらしく、1晩で30cm の積雪がなんと2日間に渡って降り続いたおかげで、シーズン中同様の軽い極上のパウダースノーでのスノーボーディングをエンジョイすることができました。本当に今年は、シーズンを通して降雪が多い年です。できるものであれば、年ごとに大雪や雪不足とならないように、毎年平均して降って欲しいと思う今日この頃です。

今回は、「スノーボードの性能を発揮するためのコツ」についてお話ししたいと思います。スノーボードの性能を発揮するために大切なことの代表的なことと言えば、ボードの反発を使うことです。ボードの反発を使うことにより、ボードを走らせたり、エッジの切り替えを行ったり、ジャンプしたり、することなどをスムーズに容易に行うことができます。

では、ボードの反発を使うためにはどうしたらよいかと言うと、まずはボードに力を加えてしっかりとボードをたわませることが必要です。ボードを効率良くたわませるためには、ボードのノーズ(先端)から徐々に力を加えていきボードのセンター部に大きく力を加えるイメージを持つことが大切です。そして、それをスムーズに解放することによって、以下のことをとても効率良くできると感じることができます。
・カービングターン
・キッカーでのジャンプ
・ハーフパイプでの加速
・クロスコース等のウェーブでの加速
・他

これからの春シーズンにて、ボードをたわませるためのエクササイズ「ノーズの使い方を学ぶ」にとても適した練習シチューエーションがあります。それは、コブ斜面での滑走です。コブ斜面を滑る際、コブに乗り上げる時→斜度は緩くなる(緩斜面)。コブを乗り超える時→斜度は急になる(急斜面)。というような斜面変化を繰り返し滑ることとなります。斜面変化に対応するためには、ボードと雪が最初に接する箇所(ノーズ)のコンタクトを上手に行っていくことが大切です。
春の柔らかい雪の中でコブの滑走を練習することによって、ノーズのコントロール操作を安全に容易に学ぶことができ、かつ、バランス能力もおおいに養うことができるというとても効率の良いトレーニングを行うことが可能です。

K-snow JAPANでは、5月のGWキャンプ(志賀高原)にてコブ攻略キャンプ(入門クラス・エキスパートクラス)を開催しますので、ご興味ある方は、是非参加してみてはいかがでしょうか。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。楽しみにしておいてくださいね。
2006年04月03日(月) No.2 (コラム)

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