佐々木耕司コラム

「心・技・体」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。ついに4年に1度の祭典、冬期トリノオリンピックが開幕されました。私は、連日の競技とその結果に胸を躍らせている今日このごろです。世界最高峰の競技を観戦することで、さまざま競技に対応できる人間の身体能力の限界(鍛えればこれほどまでのことができる)や驚異的な演技と技術力、スポーツのすばらしさを実感しています。

今回は、「心・技・体」についてお話ししたいと思います。「心・技・体」とは、従来は武道の世界で使われていた言葉であり、現在では、競技者の競技力発揮に関わる分析や科学のサポートにおいて使われています。競技で勝つためによく言われることとして、本番では「心・技・体」の順番に大切であり、トレーニングにおいては3つをバランスよく鍛えることが必要不可欠と言われています。
「心・技・体」とは以下のようになります。
 心=精神力・メンタル
 技=技術・テクニック
 体=体力・フィジカル
仮に、体力がいくらあっても技術が無ければ大会でよい結果は望めなく、体力と技術がいくらあっても強い精神力がなければ大会でその技術を発揮することはできません。逆に、いくら強い精神力があっても技術と体力がなければ同様ですが、しかし、よーく考えてみると強い精神力がある人ほどどんな過酷なトレーニングにも耐えてることができるため、技術や体力の向上を怠るとは考えられません。従って、トレーニングで築き上げた高い技術と強靱な体力を本番で発揮するには、強い精神力すなわち「心」が一番大切なのです。

「心・技・体」に沿ったトレーニングにて自己の限界を高めている人がアスリートであり、その中でも世界に通用するアスリートがトップアスリートであります。オリンピックに参加している選手は、各国を代表するトップアスリートであり、強い精神力に支えられた技術と体力を競技会でいかんなく発揮し、その優劣を競い合います。オリンピックでメダルを取ると言うことは、真のトップアスリートを決めると言っても過言ではないと思います。今回の日本勢の不振については、いろいろなことが言われていますが、私の考えとしては、オリンピックと同じメンバーが出場した大会での順位より大きく上回ることは厳しく、メディアが各競技の現状と分析を怠り大きく取り上げただけであり、順当な結果だと思います。1998年の長野は地元開催というさまざまなことが影響し最多10個のメダルを獲得することができました。
トリノオリンピックのスノーボードハーフパイプについては、オリンピックという舞台で自分の滑りができた選手は順当の結果に終わり、自分の滑りができなかった選手は通常よりも少し悪い結果に終わっただけのことであると思います。もしかしたらというメダルへの期待をしていたので、メダルを獲得できなくて残念という思いはありますが、まずは、大きなプレッシャーがかかる中で、自分の滑りができるだけの精神力を鍛えあげていき、次回2010年のバンクーバーオリンピックでは、是非ともメダルを獲得して欲しいと思います。そのためには過酷なトレーニングに耐え、強い「心」(精神力)を鍛え上げていきそれをベースとした「技」・「体」のさらなる向上を行っていくことが夢へ向けての近道と考えます。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。楽しみにしておいてくださいね。
2006年02月17日(金) No.2 (コラム)

「トリノオリンピック・スノーボード競技」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。

10数年ぶりの豊富な積雪のため良好のゲレンデコンディションに見舞われた今シーズン、みなさまいかがお過ごしですか?現在私は大山スキー場(鳥取県)に西日本合宿&大会のためにきております。こちらのコンディションは小雨まじりの天気ですが、十分な積雪のため、よいトレーニングが行えています。

さて、今回は「トリノオリンピック・スノーボード競技」についてお話ししたいと思います。4年に1度の冬期トリノオリンピックまで、いよいよあと9日となりました。スノーボード競技については、以下の日程にて各種目が開催される予定となっています。
※()内は日本人参加選手
2/10 開会式
2/12 男子ハーフパイプ(國母和宏、成田童夢、中井孝治、村上史行)
2/13 女子ハーフパイプ
(今井メロ、山岡聡子、中島志保、伏見知何子)
2/16 男子スノーボードクロス(千村格)
2/17 女子スノーボードクロス(藤森由香)
2/22 男子パラレルジャイアントスラローム(鶴岡剣太郎)
2/23 女子パラレルジャイアントスラローム(竹内智香、家根谷依里)

<参加人数と選考について>

オリンピックのスノーボードの各種目への参加人数は最大で4名となっており、参加資格はFISポイントとワールドカップの順位による基準があります。スノーボード競技の場合は、上記の6種目がありますので最大で24名の選手の参加が可能となります。しかし、いくらオリンピックへの参加資格があるからといって、全員がでられるわけではありません。それは、各国のオリンピック委員会(日本はJOC)ごとに冬期オリンピックでの総参加人数と参加選手の選考方法が異なり、さらに各競技ごとでの人数が決まっているからです。トリノオリンピックでの日本人のスノーボード競技参加人数は、全体で13名の枠があり、今シーズンのワールドカップでの成績や世界ランキングが上位の選手から内定が決まりました。

<各競技について>

◆ハーフパイプ◆
競技種目:
スリバチ状の形状をエアーターンをしながら滑り、採点により順位を競うものです。
見所:
最大参加枠4名ずつ(合計8名)の日本人選手が参加しており、その中にワールドカップで優勝している選手が6人含まれています。オリンピック日本チーム団の中でもメダル獲得の期待が大きな種目です。前大会(ソルトレイク大会)で5位入賞となった中井選手を初め今シーズンのワールドカップにて優勝した5選手(國母、成田、今井、山岡、中島)の演技にも期待されます。最大の強敵としては、オリンピック大会へ向けて万全の調整をしてくる強国アメリカチームが上げられます。

◆スノーボードクロス◆
競技種目:
今回のオリンピックより正式種目となったもので、予選の結果により(一人ずつの滑走によるタイム計測)32人の選手が決勝へ進み、決勝では4人で同時に凹凸のあるコースをスタートし上位2名が勝ち上がっていき順位を競うものです。
見所:
日本からは男女それぞれ1名の選手が初参加します。2人とも縦への変化が多いコースに強い選手ですので、そのようなコースレイアウトとなれば大いに期待が持てます。(日本人女子の藤森選手は、今秋のワールドカップで6位入賞となっていますので、得意な縦への変化の多いコースレイアウトとなれば、十分に入賞する可能性があります)強豪としては、毎オリンピックで万全の調整をしてくるアメリカをはじめ、広大なスキーエリアが多くスピードに対して強いカナダやフランス、スイスが上げられます。

◆パラレルジャイアントスラローム◆
競技種目:
並行したコースを2人同時に滑り、順位を競うものです。
見所:
冬期オリンピックにおいてこの種目に初めて日本人男子選手が出場しますので注目です。日本人女子2名の選手は、ワールドカップ最高順位3位入賞の経験をもっていますので、十分にメダルの可能性が期待されます。強豪としては、男子は今シーズン最強のスイス勢、アメリカ、オーストリア、フランス、女子はスイス、オーストリア、ポーランドなどが上げられます。

スノーボードオリンピック各種目にJ-snowboard(www.j-snowboard.com)のメンバーが多数参加しますので、盛大な熱い応援をよろしくお願いします。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。楽しみにしておいてくださいね。
2006年02月02日(木) No.2 (コラム)

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