佐々木耕司コラム

「ウィスラーレポートPart3」


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。今回は、「ウィスラーレポートPart 3」と題して、お送りします。

私は現在、ウィスラー(カナダ)へ来ています。こちらはさほど寒くなく山頂でマイナス5℃程度となっています。こちらへくる直前に、ヨーロッパにて体感温度マイナス25℃という大寒波の中で標高の高いスキー場で滑走していたので、こちらではあたたく酸素が濃く感じられ快適に過ごすことができています。ウィスラーの積雪は、11月の初旬にスキー場が異例のオープンとなるほど早い時期に降った後は、人工降雪による積雪により、中間地点より上部の滑走が可能となっている状況です。午前中はとても良く圧雪された状態ですが、午後からは下地にあるアイスバーンが多くの箇所で顔を出し、1本のエッジで滑るスノーボーディングには、転ばずにバランスをとることが難しい過酷な状況へと変化しています。
ビレッジ(ベースタウンの街)は、月末のクリスマスやニューイヤーにむけての華やかなイルミネーションに装飾され、とてもきれいな景観で訪問者も徐々に増えてきており、にぎやかな状態となっています。

今回の渡加の目的は、CSBAというカナダ留学の専門学校(スノーボード&英語)のアスリートプログラムの監修とスノーボードのワールドカップへ参加している世界のトップアスリートを見るためにウィスラーに来ました。
今年の5月から始めたアスリートプログラムは、心・技・体を鍛え、自己管理能力の向上を目標に、幅広いジャンルの授業を実践しています。雪のある時期の雪上トレーニングはもとより、雪のない時期の様々なトレーニングや、世界で活躍していく競技者には必修の英語の習得を行っています。
生徒の皆さん様子はと言うと、5月入学生を例に取ると、オフに行った様々なトレーニング(基礎体力の向上、トランポリン、スケートボード)の効果がしっかりと表れてきており、とてもスムーズで順調なシーズンインとなっています。アスリートプログラムでは、毎週末にウィスラーバレースノーボードクラブ(ウィスラーの地元のカナディアンの子供やコーチ)のメンバーと一緒に滑ることで、語学と滑走技術の両面から学ぶようになっており、英語でのコミニュケーション力の向上にとても役立ち、語学の習得の近道となっています。

12月10日と11日にウィスラーでスノーボードワールドカップのハーフパイプ種目が2戦行われ、日本人選手が大活躍する様子を見ることが出来ました。ご存知の方も多いとは思いますが、10日の大会では、日本人の女子5名と男子4名の合計9名が決勝へ進出し(決勝は女子6名、男子12名の合計18名に争われます)女子が表彰台の3つを独占し、男子では國母和宏選手がワールドカップ2連勝という快挙を果たしました。続く11日の大会では、男女4名の選手が決勝に進出し、男子は1位と2位、女子は1位と3位になり、ジャパンフィーバーとなりました。
今回の日本人選手の大活躍を直に見て、鳥肌が立つほど興奮と感動しました。そして、スノーボードという業種にたずさわっていて本当に良かったと感じた瞬間でもありました。今回の活躍の背景としては、ウィスラー(北米)という環境でトレーニングをしている選手が多く、生活習慣や文化に慣れており、日本につぐ第2のホームという落ち着いた心境で競技に打ち込めたことや、世界大会という舞台で多くのチームメイトが決勝に残り、精神的なプレッシャーが練習と同じように保てたことも、活躍の要因となったのではないかと思います。

年明けの2月10日からいよいよトリノオリンピックが始まります。スノーボードが正式種目となってから3大会目となる2006年大会において、悲願のメダルを獲得するためには、まずは今大会1日目と同じように多くの日本人が決勝に残り(オリンピックは各国の出場人数に制限があり男女ともに最大4名までとなっています)強い精神力で平常心を保ち、すばぬけた集中力を発揮することが出来れば、必ずや輝きのあるメダルを獲得することができると信じています。
全スノーボード競技(ハーフパイプ以外の競技では、アルペン種目のPGSとスノーボードクロス)でのメダル獲得の期待を込めて、これからも応援していきたいと思います。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。楽しみにしておいてくださいね。
2005年12月16日(金) No.2 (コラム)

「ヨーロッパスノーボードキャンプ」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。私は今、ヨーロッパスノーボードキャンプのため、スイスのサースフェーへ来ています。今回は、現地の状況とキャンプの様子をお伝えしたいと思います。

ここサースフェーの町は、スイスの南部・スイス3大名峰の「マッターホルン」の東側に位置しており、標高1800mの山の中腹にあります。(残念ながらマッターホルンはサースフェーの山の裏側にあるので、その雄姿を望む事はできません)サースフェーまでの移動の経路は、チューリッヒ空港から3時間ほど電車に乗った後、さらにバスで1時間の移動となります。山麓の町から山への移動時には、ヨーロッパアルプスの険しさと美しさの景観を堪能することができます。

滞在先からスキー場(氷河)までの移動は、おおよそ40分で、「Alpine Express」というゴンドラを2本乗り、さらに地下鉄を1本乗り継ぎ標高3500mの山頂に到着します。
スキー場は、2基のTバーリフトがあり、中急斜度が多く、きれいに圧雪されているのが特徴です。コースの脇には、クレパス(氷河の割れ目)が多数位置していますので、コース外滑走はとても危険な区域となっています。ゲレンデの雪質は良好で、圧雪が良いので、とても滑りやすい状態です。
週末は、多くのスキーヤーとスノーボーダーが訪れ混雑しています。多い日には、40分ほどリフト待ちをすることもあります。今年は、フランスのティーニュという氷河スキー場の雪が少ないため、多くのフランス人のスキーレーサーがサースフェーに来ておりとても混雑した時期もありました。

次にキャンプの様子をお話しします。雪上トレーニングの日は、滞在先を朝8時20分ごろに出発し、ゴンドラと地下鉄道を乗り継いで約40分ほどで山頂へ到着します。到着後、各自にてウォーミングアップを行った後、トレーニングを開始します。
メインとなるTバーリフトの待ち時間は、11月初旬は平日で15分程、休日で30分程でしたが、11月中旬を過ぎるとリフト待ちゼロという嬉しい状態です。ちなみに月末の平日は、スキー場にほとんど人がいなく、ほぼ我々の貸し切り状態です。週末はとても混雑しTバーリフトの待ち時間が多くなるので、キャンプでは土日をオフとして、月曜日から金曜日まで集中してトレーニングを行っています。

K-snowのヨーロッパキャンプでは、時差対策と高所でのトレーニングに毎回気をつけて行っています。スイスは日本と8時間の時差があります。スノーボードという雪上スポーツを行う上では、現地に到着後の時差調整をしっかりと行うことが、ケガの防止とパフォーマンスアップにつながり、非常に効率の良いトレーニングを行うことができます。
標高2000m以上の高所(サースフェーは3000m以上)でのトレーニングは、平地にくらべて酸素が少ないので、体が慣れる前に強度の高い運動をすると高山病やオーバーワークとなり、風邪等の病気にかかりやすくなる他、集中力の欠損からのケガを招いたりする可能性があります。高所トレーニングでの留意点をしっかりと参加者へ指導し、効率の良いトレーニングにて各自のレベルアップを行っています。
具体的には、標高が高いと体の水分が不足しやすくなるので、こまめな水分補給がとても重要となります。のどの渇きを感じてからでは遅いので、1本ごとの滑走で必ず水を補給するように指導しています。
今年もこれらの実施や参加者の体調に沿ったトレーニングスケジュールにより、効率のよいトレーニングを行うことができました。

キャンプの日々の模様は、WEBページの方へ日記形式で掲載していますので、よろしければご覧ください。(PC用)
http://www.k-snow.com/report/05-06/2005_eu.html

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。楽しみにしておいてくださいね。
2005年12月01日(木) No.2 (コラム)

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