佐々木耕司コラム

「世界レベルでの戦いに挑むライダー達の年間を通したトレーニング」について


皆さんこんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。ここ最近記録的な暑い日が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
昨年の夏は、ヨーロッパでも十数年ぶりの猛暑となりました。日本でも、今年はまだ6月に入ったばかりなのに、夏日になってしまいどうなってしまうことやら心配です。
しかし、暑苦しい話ばかりではありません。夏のキャンプ地であるニュージーランドMt.huttスキー場からは、雪が降ったという涼しい知らせが届きました。

先日、千葉県のナショナルエアロビクスセンターにてK-snow JapanのトップアスリートチームであるJapan-Factory(ジャパンファクトリー)の陸上トレーニング合宿を行いました。所属選手の体力測定や、昨シーズンの反省を行い、次シーズンのトレーニング計画をトレーナーも交えて行いました。所属選手達が来シーズン活躍できる準備を着々と進めていることに非常に嬉しく思っています。
 
さて、今回は自己の限界に挑戦し、世界レベルでの戦いに挑むライダー達の年間を通したトレーニングを紹介したいと思います。
スノーボードに限らず、どのスポーツにも「基礎体力」と「専門体力」が必要です。「基礎体力」とは、どのようなスポーツを行うにせよ、スポーツをする上での、走ったり、飛んだり、投げたりなどの運動をするための体力を指します。「専門体力」とは、特定のスポーツをすることにより必要な体力で、例えばスノーボードの場合は、ふとももの前部やふくらはぎ、すねの前の筋肉がそれにあたります。もちろん、「基礎体力」と「専門体力」は、スポーツの種類により、必要なレベルが違うことは言うまでもありません。
まとめますと、まず基本的な「基礎体力」の上に「専門体力」を積み重ねていくこととなります。高い次元で活躍する競技者になればなるほど、高い次元でのパフォーマンスが必要となるので、より高い次元の「基礎体力」をもとめ、高い次元での「基礎体力」を持つことにより、各スポーツでの高い次元でのトレーニングが行え、結果そのスポーツの高い次元の「専門体力」を身につけることができます。
上記のことを考えると、オフシーズンに基礎体力の向上に励むことで、オンシーズンに多くの回数滑走することができ、「基礎体力の向上」→「専門体力の向上」→「滑走レベルの向上」と結びついていくことは、ご理解いただけると思います。

そして、パフォーマンスアップした体力を最大限に発揮するためには、「柔軟性」は必要不可欠です。そもそもいくらパワーをつけたからと言っても体の可動域が狭くては、そのパワーを全部を運動にいかすことができません。
スノーボードで言えば、スクワットで鍛えた太ももの筋肉があったとします。この筋肉を滑走中に利用しようとすると、動いているため外からの力が発生し(雪面の状態や滑走中のスピード、外力の作用など)、常に力の出しやすい姿勢でいることが困難となります。そういった時に、柔軟性の高い人ほど、それらの状況下でも力の出しやすいポジションをキープすることができるので、パワーのロスが少なくなります。
また、柔軟性に優れていることによって、けがの防止にも大きく役立ちます。「骨折」「捻挫」などの怪我は、スノーボーダーが外的物体への接触の結果発生するものです。接触時にスノーボーダー自身に柔軟性があることにより、それらの接触の衝撃を緩和および逃がすことができるので柔軟性は不可欠です。

したがって、トップ選手達はシーズンオフには、まず、「基礎体力」、「柔軟性」のレベルをアップし、次のシーズンでの活躍に備えたスタートをすると言った、流れとなります。
このような形で、トップ選手のトレーニングを紹介しましたが、一般の方々も是非、シーズンオフのトレーニングをお勧めします。何のためか?ここまでお読みいただいた、皆さんには、ご理解いただけていると思います。「すべてはスノーボードを楽しむためです!!」他のスポーツをするもよし、ジムで汗を流すもよし、とにかく計画してみてはいかがでしょうか?
K-snow JAPANの6月の陸上トレーニングでは、「基礎体力」と「柔軟性」、さらには、スノーボードの特性である「バランス」について行います。お時間、ご都合の良い方がいれば是非ご参加ください。(もちろんJapan-Factoryほどハードには行いませんので、ご心配なく)

次回もまた皆さんのお役に立つことを、お話ししますので、楽しみにしておいてくださいね。
2004年06月01日(火) No.2 (コラム)

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