佐々木耕司コラム

「ポール滑走とフリー滑走の割合」について


皆さん、こんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。
今年は本当に寒い日が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
テレビのニュースにて、東京の1月の最高気温の平均値が8.8度、最高気温が10度以上となった日が5日間だけという厳寒の月となり、これは28年ぶりとのことと報じられていました。ホワイトワールド尾瀬岩鞍は、歩くとキュッキュッというとてもよい雪での滑走が毎日可能となっています。長期予報によると2月もまだ寒い日が続くということですので、今シーズンは良好な雪での滑走を多く楽しめる日が長く続きそうです。

さて、今回は、”ポール滑走とフリー滑走の割合”について、お話ししたいと思います。スノーボードにてターンの技術(滑走技術)を高めるためのトレーニングとして、フリー滑走以外にポール滑走があります。これは、制限されたコースをそのリズムですべるもので、自分のリズムでしか滑ったことが無い方には、最初は難しく感じるかもしれませんが、さまざまなリズムで滑ることができるようになると、すべりの幅が広がり、それによって限界スピードが高まったりと、さらにスノーボードが楽しくなっていきます。競技者の方についても、大会で好成績を上げるために、ポール滑走はとても役立つものです。上記については知っているけど、ポール滑走とフリー滑走の割合はどの程度にしたらよいの?という質問を時々受けることがあります。ターン技術の向上におけるポール滑走とフリー滑走の効果を下記へ記します。

【ポール滑走】
・メリット:制限されたコースを滑ることでさまざまなリズムや運動を修得しやすい。ポール内では前をみて滑る必要があるため、視界が広くなり限界スピードが高くなる。つねに運動してボードに力を働きかけているためボード操作がうまくなる。
・デメリット:規制されているコース内を滑るため、それ以上のスピードで滑走することができず、滑走スピードが上がりにくい。コースが規制されているため、滑走技術の確認や新しい技術の修得が難しい。ターンを数多く行うので、エッジで滑る技術に偏りやすい。

【フリー滑走】・メリット:コースが規制されていないので、滑走技術の確認や新しいテクニックを身につけやすい。滑走スピードを自身でコントロールできるので、低速や高速でのトレーニングに向いている。
・デメリット:コースが規制されていないので、自分の得意なリズムで滑りやすく、運動がゆっくりになったり、ターンが短くなりやすい。


ポール滑走とフリー滑走の割合について(1シーズンを通じて)
●競技者レベルの方:経験が浅い人は、フリー7割:ポール3割から始まり、上級者になるとフリー4割、ポール6割となり、最後に代表選手クラスとなると、フリー5割ポール5割もしくは、フリー6割、ポール4割としていくことで、速く滑るための技術の向上につながりやすくなります。
●ターン技術を向上したい方:フリー8割、ポール2割から始まり、フリー6割、ポール4割としていくことでターンや運動のバリエーションが増え、技術の向上につながりやすくなります。

フリー滑走でできないことをポールの中の滑走で行うのは難しく、スキー王国のオーストリアナショナルチームでは、徹底した基礎技術の修得が必修であり、それがカリキュラムの中に盛り込まれていて、年間を通じたトレーニングにおいて、フリー滑走だけを行う合宿があるほどです。また、バンクーバーオリンピックのスノーボードのPGS種目で金メダルを獲得したジェイシージェイアンダーソン選手は、フリー滑走がとても上手で、以前はスノーボードクロスでも優勝するほどでした。彼が若いときは、とても多くのフリー滑走とポール滑走のトレーニングを行っていて、年齢を重ねて多く本数を滑れなくなった際は、フリー滑走を大切にして、ポール滑走では、ポールを滑る感覚やイメージを保つ程度にしていたそうです。

ホワイトワールド尾瀬岩鞍は、関東唯一を誇る広大な滑走エリアがあり、ゴンドラ山頂からミルキーウェイコースを滑り降りると約3kmのロングランを楽しむことができ、スノーボードクロスコースを1月中旬から常設しているため、フリー滑走にてトレーニングをするには絶好の環境を備えています。
ポール環境は、K-snow JAPANにてスノーボード専用のポールを常設(毎週水曜日以外)しており、フリー滑走とポール滑走のトレーニングをご自身で行うには最良の環境となっていますので、ターン技術を向上したい方や、競技にて好成績をおさめたい方は、ぜひ一度お越しいただければと思います。
レッスンやコーチングも対応しておりますので、ご希望される方は遠慮なくお問い合わせください。

次回もまた皆さんのお役に立てるようなことをお話したいと思います。
楽しみにしておいてくださいね。
2012年02月01日(水) No.88 (コラム)

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