佐々木耕司コラム

「北米トレーニング2011の様子1(USA編)」について


皆さん、こんにちは。K-snow JAPAN代表の佐々木耕司です。

日本ではすでにスキー場がオープンして、待ちに待ったシーズンインとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?今回は「北米トレーニング2011の様子1(USA編)」をお話ししたいと思います。先日、私は約1ヶ月間の北米トレーニング合宿から帰国しました。秋に北米へ訪れるのは、カナダにコーチ留学をしていた時以来2年ぶりとなります。今回は、11月1日から日本にいる女子ジュニア選手を連れてのコロラド(USA)でのキャンプとなりました。デンバー空港から約1時間ちょっとの高地に滞在しながら、付近のいろいろなスキー場にてフリーライディングをメインとしたベーシックテクニカルトレーニングを行っている途中(開始して2週間後)から、カルガリー(カナダ)の高校に語学&スノーボード留学している男子ジュニア選手が合流し、その後、約2週間の計約4週間の雪上トレーニングを行いました。今年の北米は、とても冷え込んでいたため、降雪機による人工雪がメインのスキー場は、例年よりも早めのオープンとなりました。週末は多くの一般客で賑わい、リフトやコースが混み、カービングターンでちょっとスピードを出して滑ると”もっとゆっくり滑りなさい”と注意されて練習効率があまりよくないので、平日に集中してトレーニングを行う(週末の2日間はオフ)スケジュールにて、ジュニア選手に大切で必要不可欠な基本トレーニング(three position, make pressure on the board)を行いました。フリスコ(Frisco)という街に滞在して、近辺にある、山全体の20% がオープンしている5つの違うスキー場(メインシーズンになるとさらに4,5箇所のスキー場がオープンする)を滑りながらのトレーニングは、雪着きのよい山では、ゴンドラ1本分の長距離滑走が可能であり、安定した天候の中(寒い日はマイナス15°、暖かい日は0°)様々なコースや雪質を滑り、ファンダメンタルスキルとバランス感覚を身につけました。今回のテーマである、高地に慣れる、久しぶりのスノーボードに慣れる、ケガをしないための基本技術を身につける、全国大会で上位に入るための滑りのベース(ボードから極力圧を減らさない)を理解し修得することができたことと思います。コロラド州は標高が高いところで、以前マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手が高地トレーニングを行ったボルダー(標高1655m)という所が知られていますが、スキー場がある山沿いの地域は、それもより標高が高く(2000m越え)、滑走するコースにおいては、3000mを越えるところばかりで、もっとも高いところでは、富士山よりも標高が高いところがあるほどです。

標高が高くなると空気中の酸素が少ないため、徐々に身体を慣らしていかなかったり、いきなり激しい運動をすると血中の酸素が少なく、身体に行き渡る酸素不足のため、高山病となったり、スノーボードの滑走が困難になったり、ひどい場合には、酸素の濃い地点まで下がって数日静養しなければならなくなります。いくら長期間の合宿とはいっても、最初の1週間を高山病や時差調整の失敗で無駄にして、2週目からやっと足慣らしというようではもったいないので、私は、始めの1週間で高地と時差に順応し、2週目、3週目と強度を上げていくように指導しました。調整方法としては、積極的な水分摂取やセルフコンディションケア、運動強度の強弱の調整、栄養、睡眠(部屋が極度に乾燥することへの留意など)などに気をつけた生活管理とトレーニング内容(トレーニングメニュー、滑走距離、時間)などを行いました。詳細を以下に記します。

<他の種目の選手と同様に、高地トレーニングで留意する点>
人間が運動をする上で、普遍の法則であり運動生理学にもとづいた高地トレーニングにかかせないことからトレーニングを開始してください。
これらをしっかりと行わずに、強度の高い運動や激しい運動をしてしまうと、いきなり高山病にかかり最初の数日間を静養に費やして時間を無駄にしてしまったり、ケガをしたりしてしまうスノーボーダーが多々いますので、ご注意ください。また、たまたま、高地にすぐに順応できた方、私は大丈夫という方も、その時の体調や環境、年齢、移動した際の身体の疲れ具合(状況)によって変化し、前回はならなかったけど、今回はなってしまうということがありますので、ご注意ください。(例として:高地でのトレーニング原則や水分摂取、ストレッチ、ハートレイト管理したコンディショニングトレーニング、など)
2011年12月01日(木) No.84 (コラム)

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